異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
上って局長のグリュデか? それとも幹部会とやらか?
まぁ、どっちにしろ秘書のこいつは従わざるを得ないってことなんだろうな。
別にかまわないけど。どうせリズのリミッター解除命令がなければ暴れたくても人間と同じくらいにしか暴れられないから、たいしたことはできない。
それをこいつらは知らないってことか。これって切り札?
とにかく、こいつらの目的がはっきりするまで、おとなしく従ってやろうじゃないか。リズに会えればこんなものどうにでもなる。
通信は遮断されてしまうけど、二課長がなんらかの手を講じてくれるはず。
オレは一息ついて返事をした。
「わかりました」
「では、こちらへ」
ヴァランに案内されてエレベータで二階へ上がる。そしてセキュリティ扉をくぐり両側が窓になっている廊下を進んだ。外から見えていた筒状の渡り廊下だ。やはり内側からは外の景色が普通に見えている。
渡り廊下の終わりでもう一度セキュリティ扉を抜けて、奥の研究棟へ入った。
廊下は渡り廊下からまっすぐに突き当たりまで続いている。明るい照明に照らされた白い廊下の両脇は、様々な研究室が並んでいた。
時々白衣を着た科学者が、すれ違い様ヴァランに挨拶をしながらオレの手首をチラ見して通り過ぎていく。手錠をしたロボットなんか珍しくもないようだ。
ヴァランはそのまままっすぐに進み、突き当たりの扉の前で立ち止まった。そして扉に取り付けられた音声認証装置に向かって告げる。
「ヴァランです。シーナを連れてまいりました」
扉がスライドし、ヴァランに促されてオレは室内に入った。その直後、後ろで扉が閉まりロックされるのを感知した。閉じこめられたらしい。