異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
そこへ部屋の中を一巡してお茶を配っていたロティが、再びオレのそばまで戻ってきた。にっこり笑って隣にいるリズにカップを差し出す。
「はい、リズさんもどうぞ」
「ありがとう」
リズが笑顔でカップを受け取る。ロティは満足そうに笑顔を返したあと、オレにもカップを差し出した。
「はい、シーナも」
「え、オレも?」
オレは君と同じロボットだけど? 飲み食いすることはできるけど、別に飲み食いする必要はないって知ってるだろう?
首を傾げるオレをロティは笑顔で促す。
「シーナも頑張ったから」
人だからロボットだからとかは関係なく、彼女の中でオレは特務捜査二課のメンバーとして認識されているのだろう。
おまけに上下関係もバッチリ把握している。役職、経験年数の上からまずは機動捜査班にお茶を配って、研究員のリズ、最後に一番下っ端のオレ。
バージュモデルのロティは、オレと同じように班長に嫌われていることは知っているはずだ。人格を持つ彼女には独自の感情もある。けれど感情にとらわれることなく、自分の仕事を確実にこなしている。
本物のプロだ。伝統工芸の職人みたいに。
リズが言うには、オレの体はロティよりはるかに高性能らしい。だが感情にぐらぐら揺れてるオレは、働くロボットとしては全然ダメなんだろうなと実感する。
「ありがとう」
少し苦笑しながら、オレはロティからカップを受け取った。
ぐるりと室内を見回して悪意や不快感は感じられない。班長以外のメンバーには、おおむね歓迎されていると思っていいのかな。