異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ようやく諦めたのか、グリュデは派手にため息をついた。
「仕方ない。君との会話はまたの機会にしよう。ヴァラン、レグリーズさんを呼んできてくれ」
「よろしいのですか?」
「かまわない。彼女は聡明な方だ」
「かしこまりました」
意味深なためらいを見せていたヴァランが、軽く頭を下げて左手の壁にある扉へ向かう。
なんだろう。さっきの会話。漠然とした不安にとらわれて、若干鼓動が早くなる。
その時左手の扉がスライドして、ヴァランに促されたリズが姿を現した。オレと目が合ったリズは、ホッとしたような表情を浮かべる。すぐに駆け寄って来るものと思ったが、お窺いを立てるようにヴァランとグリュデに視線を送っている。
二人が軽く頷くのを見て、ようやくリズは駆け寄ってきた。
「シーナ、来てくれたのね」
「うん」
不安と安堵、喜びと悲しみ、愛しさと嫌悪。様々な相反する感情がせめぎ合い、それに大きな後悔と憤りが重なってリズの感情が激しく揺れている。
見上げる瞳に涙が滲み、それを隠すかのようにリズはうつむいた。
そしてオレの手首につけられた手錠を撫でて問いかける。
「暴れたの?」
「いや。そんなつもりないけど拘束された」
「そう」