異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
26.マスター命令阻止


 オレの体が違法?
 以前リズに聞いたときは、そんなことないって言われた。どういうことなんだ?

 オレはリズに視線を向ける。目が合ったリズは辛そうに眉を寄せて、視線を落とした。涙がひとつぶ床に落ちる。
 嗚咽を飲み込んで、少し呼吸を整えリズが小さな声で説明を始めた。

「バージュモデルを形成する数百に及ぶ独自技術はすべて科学技術局がライセンスを所有していることは話したわよね。新規製造時にはそのすべてに使用許可が必要になるんだけど、個別に申請していたら処理が煩雑になるし漏れが生じるリスクがあるから、通常はパッケージで申請するの。私もそうしたわ」

 だったら問題ないじゃないか。なにがマズいんだ?

 リズはますます辛そうに顔を歪める。少しの間口を押さえて声を止める。そしてひとつ深呼吸をしたあと、話を続けた。

「ライセンスの使用が許可されているバージュモデルのパッケージは常に最新の技術で構成されているの」
「新規に製造するロボットに古い技術を求める人はいないからね。申請があれば別途許可はしているよ」

 向こうからグリュデが口を挟む。リズはうつむいたまま、残りを一気に吐き出した。

「あなたの体は昔の設計図を基本ベースにしてるから、使用許可されたパッケージに含まれないバージュモデルの機能が使われているの。私が軽い気持ちで私用のロボットを流用したから、設計図が古いことを知りながら確認を怠ったから、あなたに違法ロボットのレッテルを貼ることになったの」

 そういうことか。九十年前に作られたバージュ博士の宝物だったっけ。

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