異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
薄笑いを浮かべたグリュデが、向こうから勝ち誇ったように言う。
「証拠はすべて押さえてある。いつでも法に訴えることはできるんだよ。法と社会の秩序を守る立場にある警察局のロボットが、実は違法でしたってひどく滑稽だと思わないかね?」
「それなら、警察局に話をするのが筋じゃないですか? こんな風にこっそりと開発者個人を脅すようなまねは、それこそ法に触れると思いますが」
すかさず反論するオレに、グリュデは楽しそうに笑いながら、拍手をした。
「いやぁ、相変わらず君の言語能力には驚かされるよ」
なんかすげームカつくんだけど。オレが何かしゃべるたびに「子供がすごいこと言った!」みたいな反応やめてくれないかな。
製造から一月足らずのバージュモデルって、そんなに言葉が不自由なのか?
もう取り繕うつもりもないので、ムッとしながら睨むオレをグリュデは小馬鹿にしたように鼻で笑う。
「君の言うことはもっともだけど、私はレグリーズさんを強制連行したわけでもないし、脅してもいないよ。ただヴァランに事実を伝えてもらっただけだ。取引を持ちかけたのは、彼女の方だよ」
「え?」
反射的に視線を向けると、リズは目を逸らしてうつむいた。
「ごめんなさい。公になったら局に迷惑がかかると思って、どうすれば訴えを退けてもらえるのって聞いたの」
おいおい、まんまと誘導されてるじゃないか。
自分のミスで会社に迷惑がかかりそうになったら、ひとりでなんとかしようとせず、まずは上司に報告することって新入社員教育で教わるだろう。
クランベールじゃ教わらないのかな。って、そもそもリズは社員じゃなくて研究者だった。