異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 オレが内心苛ついていると、グリュデがまったく脈絡のないことを聞いてきた。

「ところでシーナ、君は人格形成プログラムのソースコードがどこにあるのか知らないか?」
「へ?」

 知ってたらおまえの手が届かない場所に隠してるよ。具体的にどこに隠すかって聞かれても困るけど。

「レグリーズさんは知らないらしいんだが、君は知っているんじゃないかね?」

 なんでリズが知らないことをオレが知っていると思うんだ?
 怪訝に思いながら隣のリズを窺う。

 あれ? なんか動揺してる。実は知ってるのか?
 以前その話題で話したときには全然知らない風だったのに。てことは、忘れていたことを思い出した。

 もしかして、なくしていた記憶を取り戻したのか?
 きっかけになるとしたら、爆弾事件の後で倒れたときだ。脳波が一瞬異常を示していた。
 目覚めたときリズはオレに何かを言おうとしていた。あれか!

 確証はないし、オレもしらを切っておこう。

「知りません」
「そうか」

 意外にもグリュデはそれ以上追及することはしなかった。けれど意地悪な視線でオレを見つめる。

「いずれわかることだ。この先君との時間は十分にあることだしね」

 そうか。オレの中にあると思ってるのか。それで一時的にでもオレを直接調べる権限を得るために、オレの登録番号をロボットを使って盗んだのか。
 オレの詳細を産業復興局に問い合わせるには、登録番号が必要だからな。
 勝手にメモリを探られるのはごめんだけど、たとえ探られてもなにも出てこない。

 帰ったらリズに確認してみよう。でもどうやって帰ろう。結局そこに行き着く。
 グリュデの薄笑いが気持ち悪い。

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