異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ヴァランがグリュデにお伺いを立てる。
「室内が多少荒れてしまうかと思いますが」
「かまわない。存分に力を発揮してくれ。ただし、人工知能は破壊しないようにね。手足くらいはいいけど」
「かしこまりました」
恐ろしいことを軽く言いやがる。やっぱりグリュデってロボットを道具としか思っていないみたいだ。
でも好奇心に負けてボロを出したな。ロボットを戦わせることはロボット法で禁じられている。オレの見聞きしたことは全部メモリに記憶されてるから、帰ったら二課長に洗いざらい提示してやる。
所有者の破壊許可が下りたことだし、いざとなったら窓を壊して逃げ出せる。リズの体重なら飛行装置の重量制限にも引っかからないだろう。
「リズ、できるだけ離れてて」
オレもヴァランも人間を危険にさらすことは絶対にないけど、とりあえずリズの安全は確保したい。
リズは出入り口側の部屋の隅まで移動した。反対側になる窓際の隅にはグリュデが移動する。オレとヴァランは広い室内の真ん中に移動した。
三メートルくらいの間合いを取って対峙する。互いにセンサで相手を探っているが、内蔵武器がないこと以外にスペックは未知数だ。
事前に作戦は立てられないってことか。とりあえず当たってみて、考えるのはそれからだ。グリュデお墨付きの状況判断能力にまかせるとしよう。