異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレがヴァランに視線を戻したとき、けたたましい警報が鳴り響いた。皆一様にスピーカーに注目する。スピーカーから女性の機械音声が告げた。
——研究棟屋上に侵入者。各研究員は扉をロックして指示があるまで室外に出ないでください。
屋上に侵入者って空から降ってきたのか? え、まさかそれ……。
グリュデが上着の内ポケットから通信機を取り出し、問い合わせている。
「何事だ。……なに? どういうことだ?」
困惑した表情のグリュデにヴァランが問いかけた。
「局長、いかがしましたか?」
「屋上にいるはずの警備ロボットから応答がないらしい。監視カメラも停止している。ヴァラン、ちょっと様子を見てきてくれるか?」
「かしこまりました」
ヴァランが返事をして出入り口に向かおうとしたとき、窓の強化ガラスが一斉に大きな音を立てて破壊された。
「局長!」
窓際にいるグリュデめがけてヴァランが瞬時に駆け出す。絶対命令が起動したようだ。って、オレも!?
一瞬で駆け寄ったヴァランは、グリュデを抱き抱えて窓に背を向ける。オレもその横に並んで盾になった。背中にビシビシとガラスの破片が降りかかる。
あー。今ほど不本意すぎる絶対命令の起動はない。ヴァランがいるんだから、オレが動く必要ないと思うんだけど。しかもグリュデを守るためってのが、心情的にモヤッとする。