異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
飛び立った直後からオレの首にしがみついているリズが泣き言を言う。
「やだやだやだ。やっぱり降りて。なんで飛んで行かなきゃならないのよ」
「省エネ。無駄な戦闘で消耗したから、バッテリ残量が半分を切ってんだよ。てか、そんなにぎゅうぎゅう首絞められたらバランスとりにくいんだけど。少しゆるめてくれる?」
「絶対イヤ」
前も見えにくいんだけどな。おまけにあの豊満な胸がぎゅうぎゅう押しつけられて、気が散るっていうか、気持ちいいっていうか。
言わないけど。痛い目に遭いたくないし。
「高いとこダメなの?」
「ダメ……。ダメじゃない人の方がどうかしてるわよ。人間は地に足をつけて生活する生き物なんだから」
「はいはい。もう少し我慢してね」
怖くても減らず口は健在なんだな。
オレは少しスピードを上げて、閉鎖された門の上を飛び越え、警察局の敷地内に降り立った。
門に阻まれた報道記者たちが、なにかわめいているけど放っておこう。そのうち諦めて帰るだろう。