異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
コンピュータの前まで行ったリズは、机の一角に手のひらを載せてコンピュータを起動しながらオレを振り返る。
「シーナ、こっちに来て脱いで」
「ん……」
オレは言われた通りにそばまで行くと、制服の上半分を脱いでリズに背中を向けた。腰のあたりの皮膚をめくってリズがコネクタにプラグを差し込む。目覚めてすぐに穴があいててビビったあそこだ。
コンピュータとオレをケーブルで繋いだリズは、コンピュータの前に座って机の上に表示されたタッチパネルを操作する。
オレの頭の中にはコンピュータのディスプレイに表示されているものと同じ文字がバラバラとめまぐるしく表示され始めた。
任務中のオレの稼働データを分析し、調整するためにデータを収集しているのだ。これまでも訓練の後などにケーブルを繋がれた。
ただ、精巧な体は指一本動かしただけでもデータ量が多い。膨大なデータをコピーする間、ぼーっと立っているしかないオレは暇でしょうがない。
それはリズも同じなので、いつも雑談をしている。今日は先ほどのことが気になっていたので尋ねてみた。
「ラモット班長ってどうしてロボットが嫌いなんだ?」
「さぁ、どうしてかしらね」
「バージュモデルが特に嫌いって、絶対なんかあるよな」
「そうかもね。私が彼に初めて会った時にはすでに嫌ってたわ」
「ふーん」
ロボット好きのリズとロボット嫌いの班長じゃあ、反発し合うのもわかる気がする。おまけに嫌いな理由がわからないとなると、好きなリズにしてみれば納得がいかないだろうし。
嫌いな理由がわからない班長にロボットを好きになってもらうのは無理っぽい。となると、波風立てないようにするにはオレの絶対命令をなんとかすればいいんじゃないだろうか。
「絶対命令ってさぁ、どうして法律で義務づけられてんの?」
「人としての本能のかわりよ」
「本能?」
「人を傷つけてはならないのは種の保存という本能。自分の身を守るというのは防衛本能。人は本来それらが遺伝子に刻まれてるの。遺伝子を持たないロボットには遺伝子の代わりにプログラムで機能させるしかないのよ」
「へぇ」
目から鱗。てっきり人間様に絶対服従させるためだと思ってた。