異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
29.余命と寿命のゆくえ



 少しして落ち着いたリズが、ゆっくりとオレから離れながら、少しうつむいて照れくさそうに言う。

「ありがとう、シーナ。久しぶりにランシュに会えて嬉しかった」
「うん。オレの声ってバージュ博士と一緒なんだな」
「そうだったの?」
「え、知らなかった? 声紋が一緒だったよ」
「そうなんだ。設計図と一緒に入ってたデータをそのまま使ったの。あの時は写真の少年のものだろう程度にしか思ってなかったけど、だとしたら若い頃のランシュのものに違いないわね」

 そうだろうとは思ってたけど、やっぱり意識して一緒にしたわけじゃないんだな。オレの体ってつくづくリズの趣味から生まれた産物なんだ。
 気を取り直して、肝心なことを尋ねる。

「ソースコードはどうする? シークレット領域にあるから大丈夫だとは思うけど、オレが解体されたりしたらヤバいよ」
「そうならないように気をつけて。あなたにもしものことがあったら、最終手段としては完全消去して。これは命令よ」
「了解しました、マスター」

 厳しく言い放った後、リズは表情を緩めた。

「まぁ、あなたの体が違法なことには変わりないから、ライセンス使用の許可申請が通るまで、しばらく出動はないと思うわ。もしものことも起こりようがないってことね。王宮に連絡をとる方法ってわからないから、明日二課長に相談してみるわ」
「そういえば、バージュ博士って、どうして前国王陛下と知り合いなんだ?」
「博士のお父さんが前陛下とお友達だったらしいの。時々王宮に招かれてたらしいわよ」
「へぇ」

 いったいどういう経緯で一般庶民が王族とお友達になったのかは謎だが、博士の父親って科学技術局の局長だったらしいし、オレやリズよりは出会いの確率が高そうな気はする。


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