異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



「で、でも、もっと先まで一緒にいられたとしても、オレは君に家族を作ってあげることはできない。君に幸せになってもらいたいのは、オレもバージュ博士と同じなんだよ」
「あなたが家族になってくれたらそれでいいわ」

 またしても間髪入れずに、否定されてすっかり調子が狂ってしまう。

「え、いや、あの、女の子って子供がほしいとか思うんじゃないの?」
「子供ならたくさんいるもの」
「は?」
「ムートンにトロロンに、あなたもそうね。これからもっと増えるかもしれないわ。別に人間の子供にこだわることないじゃない」
「あ、そ、そう……」

 まぁ、オレって解脱しちゃってるから、このまま清らかな関係でいつづけても別に苦にはならないけど。
 って、違う! 清らかだろうが薄汚れていようが、特別な相手になってしまうのが問題なんだ。

「余命宣告が無効になったんたら、オレには永遠ともいえる時間があるんだろ? 一緒にいた時間が幸せであるほど、君がいなくなった後の時間が無意味に感じられるよ。それはオレが辛い」
「私がいなくなった後の時間は三日間しかないわよ」
「へ?」
「バージュモデルって寿命が設定できるの。私が死んで三日経ったら、あなたは機能を停止してメモリと人格はリセットされるわ。喪失感を味わって悲観している暇なんてないわよ」
「オレ、リズと連動して死んじゃうの?」
「そうよ」

 そこまで人間らしさを追求しているとは。

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