異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



「でもなんでそんな設定があるの? リセットされたら長年蓄積された仕事スキルも消えちゃうんだろ? また一から教えるって手間じゃん」
「うーん。一言で言えば、バージュモデルの特性がそうせざるを得ないようになってるのよ」
「どういう意味?」

 リズは苦笑しながら説明してくれた。
 バージュモデルを求める人は、ロボットに人間らしさを求めている。そのためノーマルモデルのような一般の仕事をさせるより、マスターの友人や親族のかわり、決して裏切らない仕事のパートナーといった特殊な仕事を与えられることが多い。
 マスターと一対一で接する時間が長いので、グリュデが言ったように感情を持つバージュモデルはマスターへ依存する傾向がある。
 そんなバージュモデルは、マスターを失った後、喪失感から使い物にならなくなるのだ。人間と違って思い出を忘れることができないので、ずっと使い物にならない。

「二度と戻らないものに囚われて動けないでいるなんてかわいそうでしょう? マスターが代わるなら前のマスターから解放してあげないとね」
「そうだね」
「他になにか気になる問題はある?」
「あー、とりあえず、それだけ」

 なんだ、悩まなくていいことで悩んでたのか。てか、悩んでたのオレだけ? 本来なら、無機物に惚れてしまった人間の方が悩むもんじゃないのか? ロボット大好きにもほどがあるだろ。


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