異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
すっかり脱力してしまったオレを横目に見ながら、リズがクスクスと笑い出した。
「寿命のこと知ってるんだと思ってたわ。”オレのマスターは生涯レグリーズ=クリネただひとりだ”って断言してたから」
「あれは、おまえなんかに従うもんかって言いたかっただけ」
リズがいたずらっぽい表情を浮かべて、上目遣いにオレを見る。
「ねぇ、さっき私のこと好きだって言ったわよね?」
「言ったけど?」
投げやりに答えて顔を背けると、回り込んでのぞき込んできた。くそぅ。嬉しそうな顔しやがって。かわいいじゃねーか。
「それって本当?」
「ロボット、ウソつかない」
照れ隠しにムートンの機械音声をまねて言うと、リズはプッと吹き出した。
「あなたはうそつきなくせに」
「うるせー。減らず口たたいてると、もう一度ふさぐぞ」
「エロボット」
「エロボットですが、なにか?」
そう言ってリズを抱きしめる。一瞬驚いたように目を見開いた後、リズは嬉しそうに微笑んでオレの背中に腕を回した。
「シーナ、大好き」
「オレも」
ゆっくり顔を近づけると、リズは少し不服そうに眉を寄せて顔を背けた。
「ダメ。ずるい。ちゃんと言って」
頬に手を添えて背けた顔をこちらへ向かせる。艶っぽく潤んだ瞳を見つめながら囁いた。
「リズが好きだ」
満足そうに満面の笑みをたたえて、リズはゆっくりと目を閉じる。かすかに開いた小さな唇に引き寄せられるようにして、オレは静かに口づけた。
全身から伝わるリズの生体反応が幸せと喜びに満ちあふれている。はぐらかして突き放してしまわなくてよかったとつくづく思った。
ただひとつ、どうでもいいことが気になってしょうがない。腰にケーブルを繋ぎっぱなしなのが、すげー間抜け。