異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 来週からは一緒に現場に出動することになるらしい。再起動してから二週間なので、オレの時よりのんびりしている。
 それがちょっと腑に落ちないので、サプリのボトルを持ってこちらへやってきたリズに尋ねた。

「ダレムってずいぶん念入りに調整してるんだな。オレの時は現場で覚えろ、だったのに」
「あの頃はロボット関係の事件が頻発してたから、ロボット捜査員の導入が急がれていたのよ。あの人が色々やってたみたいだから」
「あぁ、グリュデ?」

 確かに逮捕された後、グリュデの余罪は次々と明らかになった。

 すべてはバージュモデル人格形成プログラムのソースコードを手に入れるためで、科学技術局の資産を守るため。という動機らしい。

「シーナが一躍有名になった事件ですよね。私もご一緒したかったです」

 応接コーナーのテーブルにお茶を並べながら言うダレムに、思わず苦笑がこぼれる。

 いや、おまえ、思い切りご一緒してたから。

「私も早く現場に出て、シーナのように巨悪を殲滅するりっぱなロボット捜査員になりたいです」

 巨悪って、おまえの元マスターなんだけど。

 臆面もなく高らかに決意表明するダレムに、オレは益々苦笑する。けれどリズは、そんな彼を愛おしげに微笑んで見つめた。

「来週からは現場に出ることになるってラモットさんが言ってたわ。がんばってね」

 リズが作ったわけじゃないけど、改造や調整で手をかけたからか、ダレムもリズにとっては我が子ポジションなのだ。ヴァランには色々と思うところもあるだろうに、そんな感情もヴァランと一緒にリセットされてしまったようだ。

 ムートンやトロロンを見つめる目と一緒なんだけど、相手がオレと同じ人間そっくりなダレムとなると、オレとしてはちょっとおもしろくない。

 なにしろ最初から普通のロボットとは扱いが違ったから、オレはリズからあんな愛おしげに見つめられたことがない。

 あの事件以来、局内では公認の恋人同士ってことになってるけど、お偉いさんたちが心配するようなことはなにもなく、清らかすぎるくらいだ。


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