異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
三人で席について、リズがサプリの入ったボトルを傾けようとしたとき、出入り口が来客を告げるアラームを鳴らした。横の壁にはめ込まれた液晶画面にはシャスの顔が映されている。
リズはボトルを置いて席を立ち、携帯端末を操作しながら出入り口に向かった。
扉が開きシャスが入ってくる。一歩入って扉が閉まると、シャスはリズに尋ねた。
「昼食中だった?」
「いいえ。ちょうど今摂ろうとしてたとこよ」
シャスはホッとしたように一息ついて、パッと笑顔になる。
「よかった。じゃあ一緒に昼飯食いに行かないか? シーナ」
「行く行く」
やっぱりサプリなんかより普通の食事の方がいいに決まっている。
喜んで立ち上がったものの、一応リズにお伺いを立てなきゃ。なにしろオレの認証チップにはリズの口座が登録されている。後で明細を精査して警察局に請求することになっているらしいが、経費として認められなければリズの負担になる。無駄遣いは厳禁なのだ。
ちなみにダレムのチップには班長の口座が登録されているらしい。
振り向いたリズに、オレは尋ねる。
「行っていい?」
「いいわよ。ダレムも行ってくれば?」
「はい」
リズの提案にダレムは素直に従って席を立つ。
あれ? じゃあ、リズはひとりで味気ないサプリ昼食?
それはシャスも気づいたようで、オレが言うより先に声をかけた。
「リズも一緒にどう?」
けれどリズは席に戻りながら、笑顔で軽く手を挙げる。
「私はいいわ。まだやることあるし。シーナとダレムをお願いね」
完全に保護者だよ。ダレムはともかくオレもか。
おそらくリズはこれ以上どんなに誘っても動かない。そんな議論は「時間がもったいない」って怒られるだけだろう。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってきます」
オレは素直に引き下がって、ダレムとシャスと共に研究室を後にした。