異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
警察局を出て官庁街を抜け、飲食店が軒を連ねる商店街に入る。
あらかじめ店を決めていたようで、シャスはその中の一軒に急ぎ足で入っていった。
オレと一緒にその後に続きながら、ダレムが不思議そうに尋ねた。
「なにを急いでいるんですか?」
「捜査と昼飯は初動が肝心なんだよ。ぐずぐずしてたら空いてる席がなくなっちまう」
「へぇぇっ」
まじめな顔で力説するシャスに、ダレムは心底感心したようにうなる。オレは思わず苦笑した。
確かに昼休みは警察局だけでなく、周りの官庁から民間企業まで一斉に同じ時間に開始するから、昼休みの飲食店はどこも人でごった返している。
とくに今日は三人だから、席の確保もひとりの時よりは困難になるだろう。
入った店はセルフサービスで、注文と会計をすませた後自分で商品を持って好きな席に移動する。
すでに注文マシンの前には行列ができ始めていた。行列に並びながらシャスがあたりを見回す。
「空いてるとこあるかな?」
シャスのつぶやきに反応して、珍しそうに店内を見回していたダレムが店の奥を指さした。
「十時の方向に空席発見」
「よし、シーナ確保だ」
「了解」
機動捜査班の流れるような連係プレイで、三人一緒に座れる席を無事に確保。
ふたりが席に着いた後、オレも注文をすませて席に着く。ダレムは外で買い物や食事をするのは初めてで、注文マシンに興味津々だった。オレも最初、あのATMには面食らったけどな。