異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
目の前に置いたランチのプレートをまずはスキャンする。食材や火の通り具合、カットの仕方。細かい調理方法はシャスに教えてもらう。
ハーブ系のサラダにロールパンが二個。白身魚の切り身の香草焼き。鳥肉のグリルと選択できたけど、女の子は魚の方があっさりしてるから好きかなと思って。
薄黄色い澄んだスープはキノコと根菜が入っている。コンソメスープみたいなものかな。
その様子を興味深そうに眺めながら、ダレムが尋ねた。
「シーナは人の食べる料理に興味があるんですか?」
「うん、まぁ……」
適当にごまかしたのに、シャスが横からおもしろそうに暴露した。
「こいつ、愛する彼女の食生活を憂えて、料理の研究に余念がないんだ」
「愛する彼女って、リズですか?」
「そうそう」
シャスはおもしろそうにニヤニヤしながら頷いているけど、ダレムの方はきょとんとしている。
あまり恋愛ネタを振らないでほしい。当然と言えば当然だけど、ダレムには恋愛感情がピンと来ないらしくて、以前質問責めに遭って困ったのだ。
明確に答えられる知識なんて、オレは持ち合わせていない。かといって、人間の子供相手のように「おまえにもいずれわかる日が来る」と言い逃れるわけにもいかないのだ。ロボットにそんな日が来ることがあるのか、それこそ明確な答がない。
というわけで、オレは微妙に論点を逸らした。
「だって、おまえもリズが何か食ってるの見たことないだろ?」
「確かに、サプリを飲んでるのしか見たことありません」
どうやら興味を逸らすことには成功したらしい。オレはそのままそっちに話を運ぶ。