異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「リズは人間なんだから、ちゃんとした食事を摂る方がいいに決まっている」
元人間のオレがそう思っているんだから間違いない。けれどダレムはロボットらしい分析結果で反論する。
「そうですか? 普通の食事の方が栄養は偏っています。体調を維持するならサプリの方が合理的です」
「食事ってのは栄養を摂取して体調を維持するためだけに摂るものじゃないんだよ。それだけが目的ならオレたちが食事をする機能なんて必要ないだろ?」
ロボットは充電してれば済むしな。
「そういえば、班長の食事中に私が一緒にいると、私も食べるように命令されます」
「だろ?」
班長の場合はダレムと一緒に食事をしたいってわけじゃないだろうけどな。
ダレムのことだから、班長が食べている姿を興味津々で見つめているんだろう。それはオレでもひとりだけ食べてるのは落ち着かない。
そういう人の微妙な心理がわからないダレムは、不思議そうに首を傾げる。
「でも、どうしてなんですか?」
「おまえはどう感じてる? こうしてみんなと食事をして」
「楽しいです」
「そういうことだよ。栄養補給以外に食事の持つ意義は他者とのコミュニケーション」
「あぁ、それでフェランドさんは時々女性を食事に誘うんですね」
ようやく納得したようで、ダレムは大きく頷く。けれどその直後、目を伏せてうなだれた。
「でも班長はそれほど楽しそうには見えません」
そりゃあ、そうだろうなぁ。