異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
警察局に戻ってシャスと別れ、オレとダレムはリズのいる研究室に戻る。リズは相変わらずコンピュータのモニタに向かっていて、オレたちが戻ったことに気付いていない様子だ。
いつものことながら、ちょっと呆れる。それと同時にイタズラ心が湧いてきた。
通信でダレムに動かないように言い聞かせ、オレは気配を消して忍び足でリズの真後ろへ進む。
両手で肩を叩こうとした瞬間、リズがクルリと振り向いた。にっこり笑ってオレに声をかける。
「おかえりなさい、シーナ」
「えぇっ!?」
うっかりこっちが驚いてしまった。
まさかの超能力? なわけないか。
リズの頭越しに見えるモニタの片隅に、オレの視界と同じリズの頭越しのモニタが映っている。
すっかり忘れてた。モニタリングシステムか。
モニタの反対側の隅には、少し離れた位置にいるオレとリズの姿が映っていた。こっちはダレムの視界のようだ。
オレはひとつ息をついてリズに尋ねた。
「オレっていつまでモニタリングシステムで監視されるの?」
「あなたがここで働いている間はずっとよ」
「……てことは、ほぼ一生?」
「そうね」
備品から一般捜査員に昇格したとはいえ、やはり人とは扱いが区別されているらしい。
人と違って、故障した場合はたちが悪いから仕方ないとは思うけど。
そんなことを考えていると、ダレムから頭の中に通信がきた。
「あの、もう動いてもいいでしょうか?」
「あぁ、もう大丈夫。ちょっとふざけただけだから」
「ふざけたって、冗談ですか?」
こちらに向かって歩きながらダレムの目が好奇心に輝いている。
なんか変なスイッチが入ったらしい。