異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
いつもの定位置に座って、隣からダレムが言う。
「私はうまく冗談を言うことができません。私がふざけると、班長は不愉快そうに睨みます」
なんというチャレンジャー。
「いや、班長はあんまり冗談が好きじゃないから、言うならフェランドさんあたりで練習した方がいいんじゃないかな」
フェランドならつまらなくても笑ってくれそうだし、的確なアドバイスという名の余計なツッコミも入れてくれそうだ。
うまく躱したつもりだったのに、ダレムはさらに目をキラキラさせてオレにせまる。
「わかりました。フェランドさんで練習するので、なにか笑える冗談を教えてください」
「えーと……」
『ふとんがふっとんだ』でいいかな。
オレが苦笑に顔を歪めていると、コンピュータの向こうから顔をのぞかせたリズが緩く釘を刺した。
「シーナ、あまり変なこと教えないのよ」
その声にハッと気付く。
クールな表情で誰彼お構いなしに『ふとんがふっとんだ』攻撃をしているダレムの姿が容易に想像できる。
それはそれである意味おもしろいが『シーナが教えた』という付属情報と共にオレの黒歴史に名を残しそうなので、ダレムの興味を逸らすことにした。
「もしかして、冗談が不愉快そうにされたから、班長に嫌われてると思ったとか?」
「違います。冗談に関しては、私が未熟なことはわかっていますので」
よし、誘導成功。元々こっちの話を聞くはずだったしな。そのままさらに突っ込んで聞いてみる。