異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「なら、どうして嫌われていると思うんだ? 班長がロボットに対して無愛想なのは普通だぞ」
「絶対についてくるなと命令されました」
「へ? どこへ?」
「わかりません」
ダレムが言うには、一緒に班長の家に行ったとき、班長は必ず夕方に出かけるらしい。そのときダレムがついて行こうとすると、厳しい表情と口調で「絶対ついてくるな」と命令される。
そのときの班長は緊張と焦りに少しの不安を滲ませているという。
それって事件現場にいるときより動揺してないか?
ダレムに限らずロボットの絶対命令は人命の優先順位がもっとも高く、その中でもマスターが最優先となっている。
班長がロボットに狙撃されたことがあると知っているので、一緒にいるときは自分が警護をしなければという使命感がダレムにはある。それを拒絶する命令をされるのは、信頼されていない、嫌われているのではないかという結論に達したようだ。
嫌われているとしたらダレムがロボットだからという理由以外オレには見当もつかない。
なにしろ職場での班長は部下の手前があるだろうし、本当に無駄口がない。私生活は謎に包まれている。
すでに信頼関係を築いているグレザックやフェランドに尋ねても「班長は信頼できる人だ」という回答しか得られないのだ。
グレザックは元々寡黙で多くを語らないし、無駄口と冗談の方が多いフェランドは冗談か本当かわからない話で煙に巻いてしまうからだ。
まぁ、本人が語らないことを他人がベラベラ語るのもどうかとは思うし、だからこそ班長に信頼されているのだろうとも思う。
だが命令されてしまえばダレムは動けない。心配をしていることを素直に告げても命令は撤回されないらしい。
オレの私見では班長って照れ屋で優しさや甘さを表に出さない人だから、案外恋人に会いに行っているだけかもしれないって気がする。班長、独身らしいし。