異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ふたりを見送った後、リズはさっさとコンピュータに向かう。座った後ろからのぞき込むと、画面にはダレムとオレの稼働データが表示されていた。他のウィンドゥは表示されていない。
「あれ? ダレムのモニタリングしないの?」
「マスターのラモットさんが一緒なんだから必要ないでしょ? それにラモットさんのプライベートを私が勝手に覗くわけにはいかないわよ」
「オレのプライベートは覗いてるくせに」
「規則なんだから仕方ないでしょ」
まぁ、解脱しちゃってるし、トイレや風呂に入るでもなし、見られて困るようなプライベートもないけど。
モニタリングシステムで確認しようと思ってたけど、当てが外れたのでダレムに通信で班長の家が近付いたら連絡してくれるように頼んだ。
ムートンが掃除で部屋の中を行き来しているので、そのままリズの後ろから見るともなしにモニタを眺める。
時々顔を近づけて覗いていると、リズが迷惑そうにつぶやいた。
「ねぇ、そこにいられると気が散るんだけど」
「え?」
身を屈めたまま顔だけリズの方に向ける。至近距離で目があった瞬間、リズは真っ赤になって車輪のついたイスごと一気に身を退いた。
あまりの狼狽ぶりに呆気にとられて立ち尽くす。
えーと。オレ、恋人じゃなかったっけ?
冷ややかに見つめるオレを見ながら、リズがしどろもどろに言い訳をする。
「きゅ、急に顔を近づけないでよ。び、びっくりするじゃない」
意図せず近付いただけで、舌がもつれるほど動揺されてる恋人の身にもなってくれ。
つま先を操りながらそろそろとイスごと戻ってきたリズが元の場所に収まる。
ちょっとは慣れてもらわないとな。
オレは背中からリズを抱きしめた。
「きゃあっ!」
今度は悲鳴かよ。幾分テンション下がり気味だけど、暴れるリズをそのまま拘束して耳元で囁く。