異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 研究室でイチャイチャするなとは言われてるけど、だったらどこでイチャイチャすればいいんだ?

 オレはリズの許可がなければ研究室から出られないし、リズは出不精で会議とかどうしても避けられない用事があるときか、家に帰るときしか研究室を出ない。

 恋人同士がイチャイチャできないってなんの罰ゲーム。てか、それって恋人同士といえるだろうか。

 うなだれて考え込むオレの頭をリズがポンポンと叩いた。
 落ち込んでいるとでも思われたんだろうか。

 見上げるとムートンやダレムに向けられる慈母の微笑みがオレに向けられていた。初めてのような気がする。

「いい子ね。今日は一緒に帰りましょう。二課長に許可もらっておくわ」
「え、リズんちに行けるの?」
「許可が下りればね」
「やった!」

 自然とテンションが上がる。イチャイチャすることより、メモリに蓄積された料理のレシピが役立つ時が来たからだ。

「帰りに食材買っていい?」
「いいわよ。また何か作ってくれるの?」
「うん。色々覚えたから」
「楽しみね。じゃあ、あなたがラモットさんのとこに行ってる間に注文しておくから、必要なものをリストにして私のマシンに送信して」
「了解」

 制服じゃ目立つから、戸棚の陰でこそこそ私服に着替え終わったとき、ダレムから通信が入った。

「シーナ、もうすぐ班長の家に到着します。班長はいつも家に到着して間もなく出かけます。少し急いでください」
「わかった。すぐ行く」


< 265 / 285 >

この作品をシェア

pagetop