異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレが首をひねっていると、班長は目を細めたまま子猫の頭をなでながら声をかけた。
「ダレム、いい子にしてたか?」
ダレム! 一気に謎が解けた。子猫の名前もダレムなんだ!
それにしても班長、どんだけあいつに囚われてるんだか。
友人が苦笑しながら班長を指摘する。
「そんなに心配なら、部下が来てるくらいでうちに預けなくてもいいじゃないか」
「名前が同じなんだ。混乱するだろう」
「冷血班長がどこまで猫に過保護なんだよ」
「猫の心配じゃない。あいつはロボットだ。来週から実務に投入するのに、関係ないことで混乱してもらっては業務に支障を来す。あと、オレは冷血じゃない」
それを聞いて友人男性が好奇心に目を輝かせる。
「ロボットって、科学技術局の局長を逮捕した奴?」
あの事件って世間じゃ語りぐさになってるんだな。
「いや、あいつじゃない。もうひとり別の奴が配属になったんだ」
「もしかして、おまえが名付けたのか?」
呆れたように問いかける友人に、班長は眉をひそめて言い訳をする。
「マスターになったら家に連れて帰ることになるとは思わなかったんだ」
「にしても、名前なら他にいくらでもあるだろう。いい加減にあの事件に囚われるのはやめた方がよくないか?」
班長は不愉快そうに顔をしかめて目を逸らす。友人は一つ息をついて苦笑した。
「まぁ、あれ以来ずっと拒絶していたロボットを家に招くくらいだから、多少は前進したってことかな。ロボットの部下ができたのがよかったんじゃないか?」