異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
班長はうつむいたままで、子猫の頭をなでながらボソリとつぶやく。
「バージュモデルってのは、本当に人間みたいだな」
「まぁ、ぱっと見はわからないな」
「あいつ、最初はバカだと思ってた。高性能だって聞いてたのに任務には失敗するし、命令には背くし、怒鳴っても殴ってもヘラヘラ笑ってるし」
え、それオレのこと?
まぁ、班長には「使えないポンコツだ」って何度も直接言われてるけど、客観的に話だけ聞いてると本当にバカに思える。
「感情が読めるから、オレと衝突しないようにうまく躱しているんだろう、って最近気付いた」
「案外、人間より察しがいいよな」
「オレはロボットとはかかわりたくなくて、あからさまに冷たく接していたらロボットとはいえ、職場の仲間に嫌われたら困るだろうって開発者から言われたよ」
「大人げないな、おまえ」
「そうだな」
呆れたように言う友人に、班長は少し笑みを浮かべて頷く。
「あいつらの方がよっぽど大人だな。嫌われてもかまわないって言ったのに、シーナもロティもまったく態度が変わらないんだ。不必要に踏み込んできたりはしないが、冷たい態度をとるオレに平然と接してくる。ロボットだから人の心情なんかわからないだけだと思うと、意地になってるのもばかばかしくなってな。ロティの差し出したお茶を受け取った」
そっか。ある意味ロティに根負けしたってことか。
まぁ、ロティはプロだから、セクハラに遭ったグリュデにさえ、直後にお茶を出すくらいだし。班長が冷たくあしらったのなんて、蚊が刺したくらいにしかダメージにならないんだろう。