異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
班長は怪訝な表情でオレを見る。そして少し焦った様子でちらりと後ろを振り返った後、気まずそうにこちらを向いた。
班長の後ろでは、猫を抱えた友人が興味深そうにこちらを見つめている。オレは彼に軽く会釈した。
班長はいつも通り、不愉快そうにオレを見つめる。
「どうしておまえがこんなところにいるんだ」
「リズに頼まれて彼女の友人に資料を届けにきました」
あらかじめ用意していた言い訳を述べると、班長はとりあえず納得したようだ。ロボットが適当な出任せなど言うとは思ってもいないのだろう。
オレはすかさず本題に入る。
「あの猫は班長が飼ってるんですか?」
「……そうだが」
「連れて帰ればダレムが喜びますよ」
「あいつは猫が好きなのか?」
少し意外そうに班長が問い返した。
まぁ、ダレムは好奇心の塊だから、猫に限らずなんにでも興味を示すけど、嫌いじゃないと思う。
その辺は曖昧にぼかして本題に入る。
「リズのロボット猫とよく遊んでいます。それに班長がかわいがっている猫と同じ名前をもらったと知ったら私なら嬉しく思います」
予想はしていたけど、途端に班長は表情を険しくした。
「……おまえ、いつからここにいたんだ?」
「ついさっきです」
得意の天使の微笑みで答えると、班長は見透かしたように不敵の笑みを浮かべた。
「なるほどな。科学技術局の局長がおまえの言語能力を絶賛していたが、とぼけるのもうまいようだ。普通のロボットは”ついさっき”なんて言わないだろう」
やべぇ。五分十五秒前って言えばよかったのか。
オレが天使の苦笑を返していると、班長の友人が向こうから声をかけてきた。
「おーい、ラモット。彼もああ言ってることだし、連れて帰ったらどうだ?」