異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
班長は黙って友人の元に戻る。オレもその後に続いた。班長の友人は猫を班長に渡した後、オレに手を差し出しながら人なつこい笑顔を向ける。
「やぁ、はじめまして。もしかして君は、あの有名なロボット捜査員?」
オレも笑顔で彼の手を握り返した。
「はじめまして。ラモット班長の部下でシーナといいます」
「偏屈な上司で大変だろう?」
「いいえ。班長には危険なところを助けていただいたこともありますし、色々とご指導いただいて感謝しています」
「へぇ、ラモットが毛嫌いしているロボットを指導するとはねぇ」
からかうように顔をのぞき込む友人に、班長は眉を寄せて吐き捨てるように言う。
「部下を指導するのは当たり前じゃないか」
「この通り、素直じゃないけど、今後もよろしく頼むよ」
「こちらこそ、廃棄処分にならないようによろしくご指導お願いしたいと思います」
班長は猫を抱えたまま、友人に軽く手を挙げて「じゃあ」と背中を向ける。
そのまま家に向かう班長にオレも暇乞いをしようとしたとき、班長がオレを振り返った。
「おまえも来るか?」
「……え?」
えぇーっ!? すげぇ行ってみたい! こんなこと二度とないかもしれないし。だけど……。
オレは天使の微笑みで、やんわりと拒否する。
「お招きは大変嬉しく思います。ですが、私は今リズに頼まれた仕事の途中です。またの機会にぜひお邪魔させていただきたいと思います」
「そうだったな」
班長は納得して小さく頷く。
「それに、偏屈上司と一緒に過ごすより、恋人と一緒の方が楽しいだろうしな」
そう言って意地悪く笑った。
「いえ、そんなことは……」
ちょっと図星だけど。
ひたすら苦笑するオレに、班長はクスリと笑って背を向ける。そして「じゃあな」と家に向かった。
「失礼します」
班長の背中に敬礼し、班長の友人にもう一度挨拶をして、オレは歩き始める。
たぶん班長はダレムにうまく説明してくれるだろう。
ダレムには班長と自分が帰ることだけ知らせて警察局へ向かった。