異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
大人の階段
二課長からの外泊許可はあっさり下りて、オレはリズと一緒に彼女の家に帰った。
ダレムからの連絡はない。きっと自分と同じ名前の子猫を介して班長との距離も縮まったことだろう。
オレはあらかじめ注文してもらっていた食材を使ってシチューを作り、リズと一緒に食べて満足しているところ。
今日は二回も普通の食事を摂ることができて、バージュモデルの人間らしさに感謝している。
本当はカレーが食べたいんだけど、今のオレの腕前ではちょっと無理。
日本では小学生がキャンプで作るくらい初心者向けの定番料理が、クランベールではかなりな上級者向け難易度だったりする。
というのも、当然ながら放り込むだけの簡単便利なカレールーが市販されてないからだ。
似たような料理がないか勝手知ったる国立図書館やネットワークを検索してみても、見渡す限りかすりもしない。
ということは、クランベールにある香辛料や調味料で記憶を頼りに作らなきゃならないということだ。
なにしろクランベールの香辛料や調味料の味を全部把握しているわけではないので、そこから始めるとなると、トマトケチャップのように簡単ではないと思う。カレーの味に関してはシャスを頼るわけにはいかないし。
でもちょっと楽しみだ。警察局をお払い箱になったら、日本料理の店でも始めようかな。
ロボットシェフが作る創作料理の店って話題性はありそうだ。
まぁ、決められたレシピできっちり同じものをいくつも作るロボットシェフはすでにいるらしいけど。