異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
データが改竄されていたことに気づいた警備会社は、まず店主に確認をとった。店内の様子に変わったところはないか、盗まれたものはないか。
すると店主はあらかじめわかっていたかのように、ヒューマノイド・ロボット用の充電器がひとつなくなっていると即答したらしい。その割に、連絡があるまで気づかなかったというのだ。
性風俗店のカベルネでは、接客用のセクサロイドを多く所有している。充電器は毎日使用するはずだ。なくなっていれば三日も気づかないわけがない。
警備会社は色々腑に落ちない点があったものの、盗難に遭ったわけだから警察に届けることにしたらしい。それに店主は難色を示したが、決まりだからと説き伏せて通報した。
「で、なんで三日も盗みに気づかなかったって?」
「盗まれたのは予備の方で普段はあまり使ってないからだそうだ」
「それにしたって、ロボット用の充電器ってそんなに安くもないだろう? どうして盗まれたことを隠す必要があるんだ?」
「だから、ちょっとシーナを貸して欲しいんだ」
「は?」
脈絡のない申し出に、面食らったラモット班長の声が裏返る。突然こっちに話を振られて、オレも驚いた。
ラモット班長は胡散臭そうにオレを一瞥してガリウス班長に尋ねる。
「あいつに何をさせるんだ?」
それはオレも知りたい。
ガリウス班長はニコニコしながら答えた。
「シーナは人の感情が読めるんだろう? カベルネの店主に色々質問して反応を見たいんだ。嘘をついてたり動揺したりすれば、事件解決の糸口がつかめる」
なるほど。オレを嘘発見器がわりに使いたいということか。
「うーん」
ラモット班長は一声うなり、腕を組んで椅子にもたれた。少しの間、目を伏せて考えた後、不愉快そうにオレに視線を向ける。
まぁ、オレを見るときの班長はいつも不愉快そうだけど。
「おまえ、嘘を見破れるのか?」
「はい。相手が虚言癖でない限りわかります」