異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ラモット班長はそれでも疑わしげにオレを見る。
「センサ類は大丈夫として、振る舞いの方は大丈夫なのか?」
「それは機動捜査班のみなさんにお尋ねください。シーナと距離を置いているラモットさんはご存じないでしょうけど、他のみなさんはご存じだと思いますよ」
リズは得意げに余裕の笑みを浮かべる。それを一瞥して、ラモット班長は隣のフェランドに尋ねた。
「どうなんだ?」
「大丈夫だと思いますよ。たまに冗談を言ったりするくらいだし。さっきのイヤミはうまかったぜ」
そう言ってフェランドは、オレに向かってニッと笑う。
いやいやいや、せっかく丸く収めたのに蒸し返さなくても。案の定、ラモット班長が険しい表情でオレを睨んでいる。オレは再び天使の微笑みを返した。
もうこうなったら、気づかぬフリを貫き通す。
「シーナのことならシャスの方が詳しいですよ。なにしろ助けられて以来、機動捜査班公認のお友達ですから」
「フェランドさん!」
からかうフェランドにシャスが声を荒げた。生真面目なシャスは、フェランドのいじられキャラになっている。
向こうからラモット班長がシャスを促した。
「シャス」
「あ、シーナなら大丈夫だと思います。日常会話で違和感を覚えたことはありません」
「オレも大丈夫だと思います」
いつもはほとんど口を開くことのない寡黙なグレザックが、ラモット班長の向かいの席からシャスに同調する。
ラモット班長はチラリとオレを見た後、再び腕を組んで目を伏せた。
少しして顔を上げたラモット班長は、ガリウス班長に向かって決断を下す。
「わかった。シーナに聞き込みの補佐をさせよう」
「そうか。じゃあさっそくうちの捜査員と打ち合わせを……」
ニコニコしながらオレに指示を出そうとしたガリウス班長を、ラモット班長が制した。
「いや。聞き込みはオレが行く」
「え?」
ガリウス班長は目を丸くして絶句する。オレも思わず声を漏らしそうになった。
ロボット嫌いなラモット班長が、ロボットとコンビを組むことに自ら名乗りを上げる。その意外な行動に皆が面食らってラモット班長を見つめた。