異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「誰かいるの!?」
弾かれたようにそちらを向くと、白衣を羽織った小柄な女が銃口を向けている。オレは反射的に両手をあげた。
全裸でばんざいって、すげー間抜け。でも撃たれたくはない。羞恥心よりも防衛本能の方が勝るようだ。
オレは敵意がないことを証明するため、両手はそのままに、無理矢理笑顔を作って穏やかに話しかけた。
「オレにも何がなんだかわからないんだけど、とりあえず何か着るものを貸してもらえないかな」
女は銃を下ろしたものの、驚いたように目を見張ってオレを凝視している。あまり見つめられるのは落ち着かない。なにしろ全裸だ。オレもゆっくりと両手を下ろし、今更ながら股間を覆った。
しばらく彼女の出方を待ったが、相変わらずこちらを見つめたまま固まっている。言葉が通じなかったのか? 彼女の容姿は外国人っぽい。
色白で明るい栗色の瞳に、赤毛のショートボブ。チラリと覗いた耳たぶには銀のイヤーカフ。モスグリーンの膝丈ワンピースの上に白衣を羽織っている。女医とか?
そして一番目を引いたのは、白衣の隙間から張り出した大きな胸。
小柄で華奢で童顔なのに、なんだその乳は! エロアニメのヒロインか!
オレが再び彼女の顔に視線を固定した時、またしても頭の中に文字が現れた。
登録データと照合。
一致データあり。
登録マスター レグリーズ=クリネ 22歳
クランベール王国国家警察局特務捜査二課所属 捜査機器管理研究員
これって、彼女のデータ?
「レグリーズ?」
「そうよ。リズでいいわ。どうして動いてるの?」
「どうしてって、目が覚めたから……」
「誰があなたに人格形成プログラムをインプットしたの?」
「は?」
リズがやって来る前に考えていたことを、ふと思い出した。彼女の言葉がそれを裏付けているような気がする。オレは苦笑をたたえて恐る恐る尋ねた。