異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
班長に返信して彼女の腕をほどこうとしたとき、机の引き出しを探っていた店主が書類と通信端末を持って戻ってきた。オレたちの前に座り、彼女に言う。
「こらこら、その方たちは店のお客さんじゃない。わしのお客さんだ」
「えぇ〜、違うんですか〜?」
彼女は不服そうに口をとがらせてオレの腕を放した。
「わしはこの方たちと話があるから、おまえはもう下がっていなさい」
「は〜い」
店主に言われて席を立った彼女は、胸の谷間を見せつけるかのように前屈みになってオレの顔をのぞき込む。
「あたしパヴィっていうの。お客さん、あたしの好みだから、今度来たときはあたしを指名してね」
妖艶な笑みを浮かべながらそう言うと、彼女はオレにウインクをして部屋を出ていった。
たぶん、席を立つときにはそう言うようにプログラムされてるんだろうなぁ。
彼女が出て行った後、店主は頭をかきながら言い訳をする。
「いやぁ、どうもすみません。事務や雑用を時々店のロボットにやらせてるもんですから」
「いえ、かまいません」
ラモット班長は自分自身とオレを店主に紹介した後、さっそく質問を始めた。オレは各センサの感度を上げて、情報端末を手にメモを取っているフリをしながら店主の様子を見つめる。
「警備会社から聞いたんですが、連絡が入るまで盗難に気づかなかったというのは本当ですか?」
「はぁ」
いきなり嘘をついている。
オレはすかさず班長に報告した。