異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
それは捜査会議でも怪しまれていたので、班長も予想していたのだろう。矢継ぎ早に次の質問を畳みかける。
「それは妙ですね。あなたは連絡があったとき、何か盗まれてないかと問われて、ロボット用の充電器がなくなっていると即答したそうじゃないですか」
「それは、盗まれたとは思ってなかったけど、なくなっているのは知っていたからです」
「盗まれたと思ってなかったのはどうしてですか?」
「ロボットの整備士が修理に出したのだと思ってたんですよ。調子が悪くて普段使ってない奴だったんで」
「なるほど」
これまでのところ、店主の話はすべて嘘だ。だが彼は、表面上は穏やかな表情を浮かべ、落ち着いて質問に答えている。
話の辻褄も合っているし、時間があったからあらかじめ答えを用意していたのだろう。
そのあたりのことは素人のオレより班長の方がわかっていると思う。班長は質問を変えた。
「あなたの他に人間の従業員はその整備士だけですか?」
「もうひとり事務員の女性がいますが、ふたりとも毎日出勤しているわけではありません。今日も休みですし」
「あぁ、だから整備士に確認できなかったということですか」
「え、えぇ。そうです」
聞かれてもいないのに余計な言い訳をするってことは、この質問は想定外だったのかな。
班長の助け船に店主はホッとしたように進んで乗ってきた。
「そのふたり以外は接客用のヒューマノイド・ロボットだけなんですね?」
「はい。人間に接客はさせてませんよ」
「別にそれを疑っているわけではありませんよ。単なる確認です」
「あぁ、そうですか……」
想定外の質問をされてから、店主の動揺が表面にも現れるようになったようだ。班長はわざと想定外の質問をして揺さぶりをかけているように感じる。
オレもセンサの反応から、あることに気付いた。余計な口は挟むなと言われたので、私見は交えず事実だけを報告する。
「班長、店主はヒューマノイド・ロボットという言葉に対して過剰に反応を示しています」