異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
話があさっての方に転がって、当初の疑問は解決されないままだったが、まぁ予想はついたからいいか。
王子様を夢見る処女(をとめ)が作ったと考えれば、この美少年容姿も納得できる。
見ただけでエロいと言われるなら、うかつに触らないようにしないと。
オレは半歩横に移動して、リズと距離をとる。それを見てリズは不思議そうに首を傾げた。
そういえばカベルネからロボットを盗んだ犯人はどうなったのだろう。実は被害者も犯罪者でしたってオチだったけど、盗難があったのも事実だ。
そもそも店主はなにを隠そうとしていたのだろう。
備品のオレには任務に直接関係のない捜査状況は、わざわざ知らされない。
リズなら知ってるかな?
「カベルネから盗まれたロボットってどこで見つかったの?」
「第二居住地区にある公園でぼんやり座ってたんだって。あんな服装だし話しかけても反応がないから、たぶんロボットなんだろうって、通りかかった住民が通報してきたの」
「反応がないって、エネルギー切れ?」
リズは辛そうに目を伏せる。
「違うわ。かわいそうに、人格を破壊されてたの。記憶データも消去されてた。だから犯人も特定できなかったらしいわ。彼女、バージュモデルだったのよ」
「あぁ、それで店主は盗まれたことを隠したがったのか」
オレの内部メモリに絶対命令と共に記憶されているクランベールの法律が告げる。
バージュモデルを性風俗店の接客で使用することは禁止されているのだ。
バージュモデルは人間らしさを追求したロボットだ。所有者も人間らしさを求めて入手したはずである。だったら人と同じように扱って欲しい。というのが開発者であるランシュ=バージュ博士の願いだった。
人が性風俗店で性的接待をすることは法律で禁じられている。というわけで、バージュモデルも禁じられた。
バージュモデルのライセンスは国家機関である科学技術局が所有している。ライセンス使用の条件にもなっているのだ。
国家機関との契約条件ということもあって、クランベール独自の法律、ロボット法にも定められている。