異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
それを見送りながら、思わずため息がこぼれる。後ろにいたグレザックがもう一度頭をクシャッと撫でた。
振り返って見上げると、無表情のまま言う。
「あまり気にするな。逮捕した被疑者の身内に罵られるのはよくあることだ」
「はい……」
身内、とはちょっと違うけど、同じロボット同士、なにか共感しあうところがあったのかもしれない。
返す返すもオレが消去プログラムを即座に停止できていたら、全部は無理だろうけど、あいつと彼女との思い出も少しは守れたかもしれないと悔やまれる。
通りすがりに班長がポンと肩を叩いた。そして通信機に向かって全捜査員に告げる。
「機動捜査班、速やかに撤収」
引き上げてきた捜査員たちが、続々とオレの周りに集まり、労いの言葉と共に肩や背中を叩いたり頭を撫でたりする。
笑顔でそれに応えたけど、あまり心は晴れない。失敗はしなかったし、事件は解決したけど、釈然としないやりきれなさが残った。
「おまえら、さっさと撤収しろ!」
いつまでもオレを取り囲んでいる捜査員たちに、ラモット班長の怒号が飛んだ。