異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 つまりソースコードを手に入れて使える技術を持っていたとしても持て余してしまうということだ。なにも悪人人格を作る必要はないけど、だったらソースコード改変する必要もないだろうし。

 てことは、欲しがる物好きもそうそういないだろうし、売るにしても科学技術局一択になる。
 他にライバルがいないとなると、足元見られるんじゃないか? お国の機関だし「見つけてくれてありがとう」で謝礼は金一封とか。
 血眼になって探すだけバカバカしい。

 窃盗犯の目的がソースコードじゃないとすると、いったいなんなんだろう。十五年前に知られてはマズいことをバージュモデルのロボットに知られてしまったとか? それもなぁ……。

 すでに暗礁に乗り上げたオレが途方に暮れていると、リズがポツリと追加した。

「でも今のままじゃ、科学技術局はライセンスを再取得できないけどね」
「え? どういうこと?」
「申請時にライセンスを構成する資源の提示が必要なのよ。つまり人格形成プログラムに関しては、ソースコードがないといけないの」
「でもソースコードって誰にも公開してないんじゃなかったっけ? ライセンスの申請所には公開したってこと?」
「別にソースコードそのものを公開する必要はないわ。そのソースコードから確かに人格形成プログラムが生成されることを証明すればいいわけだから」
「そういうことか」

 最初に申請したときは、バージュ博士が科学技術局に籍を置いていたから問題はなかった。でも今はバージュ博士もソースコードも科学技術局にはない。

 え? てことは、ソースコードを手に入れた者が、バージュモデルの根幹をなす人格形成プログラムのライセンスも手に入れられるってことか?

 それって、巨万の富を得るってこと?

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