異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「やっぱ窃盗犯の目的は人格形成プログラムのソースコードかもしれない」
「私もそんな気がしてきたわ。今日なにも事件が起きなかったらさっさと家に帰って大叔母さんの遺品を調べてみましょう。ちょっと気になることがあるの。あなたも来る?」
「へ? いいのか?」
「二課長に聞いてみるけど、たぶん大丈夫よ」
「うん。じゃあ行く」
そっか。リズにしてみれば局の備品を自宅に持ち帰るだけだった。
夜に男をあっさり自宅に入れるとは、なんて無防備な。って余計な心配だったわけだ。
そういう余計な心配も下心もないけど、仕事以外で外に出られるのはちょっとうきうきする。しかも女の子のお宅訪問。
まぁ、女の子といってもリズだから、普通の女の子のお宅とは違うんだろうけどな。なにしろ家の台所を使わないって言ってたし。
そこまで考えて、ハタと気付いた。
「もしかしてオレ、リズんちに泊まり?」
「そうよ。何時までかかるかわからないし、夜中に連れてくるの面倒じゃない。大丈夫よ。充電器ならうちにもあるし」
そりゃそうだろうけど、ここまでみごとに備品扱いされていると色々心の機微が、むにゃむにゃ……。
もう少し人間扱いされてると思ったんだけどなぁ。
とりあえず心の機微は置いといて、この機会にかねてよりの計画を実行に移すことにする。
「じゃあ、帰りに行きたいとこあるんだけどいい?」
「あんまり時間はとれないわよ」
「すぐすむと思う」
「じゃあ、いいわ」
「ありがとう」
二日間続いた平和が、このまま定時まで続くことを祈りつつ、オレは再びデータの海にダイブした。