異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
店の開いている商店街は初めて見る。
以前仕事で出動した時は深夜だったので、店はほとんど閉まっていた。今日はずいぶんと活気に満ちて賑やかだ。
エアカーの乗り入れは規制されているのか、通りにはその姿がない。赤い煉瓦の敷き詰められた通りには、夕飯の買い出しだろうか? 買い物客が多くいる。
オレが物珍しげにあたりをキョロキョロと見回していると、リズはひときわ大きな店の中に入っていった。スライド式のガラス戸の上には「総合食料品店シュール・リー」と書かれた看板が掲げてある。
慌てて後を追って店の中に入った途端、目が点になった。オレの知ってる食料品店じゃない。
入り口を入ってすぐ目に入ったのは、まるで銀行のATMコーナーのような光景。タッチパネルとディスプレイを備えた機械が横長な空間にずらりと横一列に並んでいる。ざっと二十台くらいあるだろうか。それらの機械は一台ずつ薄い板で仕切られ、まさにATMそのもの。
空いている一台の前に立ったリズが呆然と立ち尽くすオレを手招きした。
「シーナ。こっちに来て必要なものを選んで」
「あ、うん」
そばまで行ってのぞき込むと、画面には店で取り扱っている商品の一覧メニューが表示されていた。リズはその中から野菜の文字を指でタッチする。
画面が変わり、野菜の写真が名前と一緒に一面に表示された。
「必要なものを指でタッチして。今日の外出は一応あなたの社会勉強だから、あなたが操作して」
「オレの指でも反応する?」
「大丈夫よ。ロボットのお客さんもいるから」
そういえば庶務ロボットのロティも時々頼まれて買い物に出かけてたっけ。
操作の手順はネットショッピングのようなものだ。これならオレにもわかる。
時々画面を切り替えて、必要なものを全部ピックアップして、最後に終了の確認ボタンをタッチすると、画面は最初のメニューに戻った。
それと同時に画面の下から引き出しがせり出してきた。引き出しの中にはデータチップの埋め込まれたカードが三枚入っている。それを掴んで、リズは機械の前を離れた。カードと引き替えに商品を受け取って代金の決済を行うらしい。