異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「ちなみにオレがこのままこの体に居座ったとして、リズに打つ手はある?」
「そうねぇ。実際やってみないとどうなるかわからないけど、元々インプットするはずだった人格形成プログラムで上書きするっていう手があるわ」
「上書きって、オレはどうなるんだよ」
「だからわからないわよ。でも普通に考えたら、消えちゃうんじゃない?」
「な!? 簡単にそんなこと言うなよ! オレの人権はどうなるんだ」
焦るオレとは対照的に、リズは冷ややかに言い放つ。
「人権なんかあるわけないじゃない。あなたはロボットなのよ。人じゃないわ。国家警察局の持ち物なの」
改めて言われると少なからずショック。オレは物と一緒なんだ。せっかく生まれ変わったと思ったのに。
「じゃあ、オレは消されちまうんだ?」
そうだとしても、たぶん痛みとかないんだろうし、雷に打たれた前世の死に方よりは怖くないかな。
そんな風にオレが覚悟を決めたというのに、リズはなぜか腕を組んで思案顔だ。
「それが手っ取り早いとは思うけど、捜査の性質を考えると、人としての教育が必要ないというのは魅力なのよね」
「え?」
「ロボットに人間らしさを教育するのは結構大変なのよ」
リズは意を決したように頷いて、いたずらっぽく笑った。
「あなたが捜査員として働くことに同意するなら、そのままその体に居座ってもいいけどどうする? もっとも、その体に居座るならマスターである私の命令には逆らえないんだけど」
そんなの聞かれるまでもない。
「わかった。君に従う」
せっかく生まれ変わったのに消されてたまるか。