異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「入局試験に落ちたのよ」
「え? リズほどの頭脳を持ってても?」
「買いかぶりすぎよ。私はそれほど優秀な科学者じゃないわ。ひとが作ったものに改良を加えてアレンジするのは得意だけど、独創性がないのよ。科学者としては結構致命的よね。大叔母さんやバージュ博士のように自分で発明したものなんてないんだもの」
そう言ってリズは目を伏せた。
なんかうっかり痛いところを突いちゃったのかな。
少し罪悪感を覚えて、オレはリズを浮上させることにした。
「でも君が作ったこの体は、君のアレンジで超高性能なんだろ? もっと自信を持っていいと思う。アレンジだってオリジナリティのひとつの形じゃないか。人によってアレンジの仕方は違ってくるんだし」
「そういう考え方もあるわね」
リズがほんの少し口の端に笑顔を見せる。
よし、あと一押し。
「君には本当に感謝してるんだ。君がこの体を作ってくれたから、オレはもう一度この世に戻ってこられた。マスターじゃなかったとしても、君が危険な目に遭ってたら守りたいと思うし、君の手助けをしたいと思う。でも今のオレは、君を慰めたいのに触れることはおろか、近づくこともできないのが辛い」
「シーナ……」
リズはオレを見つめてにっこりと微笑む。
「そんな甘い言葉にほだされて命令を撤回すると思ったら大間違いよ」
「ちっ、ばれてたか」
確かに感謝はしているし、手助けしたいとは思っているけど、言ってて自分で歯が浮いちまったぜ。