異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
どうやら浮上はしたようなので、痛い命令の撤回は諦めて本題に入る。
「で、なにを調べるんだ?」
「確証があるわけじゃないんだけど、ロックのかかったメモリカードがあったのよ。ただ、この部屋のどこにあるのか覚えてないの」
「この部屋にあることは確実なんだな?」
「うん」
「じゃあ簡単だ。サーチかけるからちょっと部屋から出てて」
オレが壁際によけて通路をあけると、リズは部屋の外へ出て、入り口から中を覗いた。それを確認して、オレは部屋の中央へ進む。そしてリズの方を向いた。
オレには指定されたものをセンサを使って検索する機能が備わっている。これは初の警察ロボットとしてリズが追加した機能だ。
違法ヒューマノイド・ロボット相手に格闘するのがメインの仕事だけど、証拠品や犯人の遺留品などの捜索で人の捜査員を補佐するのに後々役立つこともあるだろうと考慮して実装されたという。一般のヒューマノイド・ロボットにはない機能だ。
リズが頷くのを合図にシステムを起動する。
立体検索システム起動。
検索対象、電子媒体メモリカードに限定。
検索範囲、現室内に限定。
検索開始座標指定待ち。
オレは入り口側の壁の角に視点を固定して開始座標を指定した。
開始座標確定。
立体検索開始。
視界が検索モードの格子模様入りに切り替わり、まずは入り口側の壁一面に、舐めるように視線をはわせる。入り口の両サイドも書棚になっていたが、なにも見つからなかった。
続いて左手の壁。こちらもなにもない。そして一番怪しい、コンピュータの置いてある窓際。
案の定、システムが発見メッセージを表示した。視界にも発見地点に赤い点が点滅している。
検索対象、複数感知。
赤い点はコンピュータの置かれた机の引き出しを示している。リズの探しているものとは違う気もするが、まずは他もサーチしてみよう。
引き続き隣の壁を検索。ここで書棚に置かれた物入れと、戸棚の中で検索対象を発見。
最後に床と天井を検索して、ここではなにも発見されずに検索を終了した。