異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ファイルにはヒューマノイド・ロボットの設計図が保存されていた。次々とファイルを開いていくと、どれもこれも同じような設計図。しかもかなり精巧で緻密なことから、どうやらバージュモデルのようだ。
おまけに身体制御や思考エンジンの詳細な設計書やソースコードはあるものの、肝心の人格形成プログラムはない。
一縷の望みと期待を込めて、最後のファイルを開いたとき、オレは思わず目を見開いた。
最後のファイルは画像データで、そこに記録された人物の姿は、サラサラのプラチナブロンドにブルーグレイの瞳、色白で中性的な細い姿態。まさにオレの体そのものだったのだ。
「リズ、このカードにロボットの設計図が隠されてたんだけど、これって……」
「え?」
振り返ったリズは思い出したように嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「あぁ。それ、どこにいったのかと思ってた。戸棚に片づけてたのね」
「なに、知ってたの?」
「ロックがかかってなかったでしょ?」
「うん」
「前に私が苦労して解除したのよ。で、設計図を見つけたから作ってみたの。それがあなたの体よ」
「え……」
なんか想像してたのと違う。
増加するヒューマノイド・ロボットの犯罪に対抗するため、警察局の威信を懸けて特別に開発されたのかと思ってた。まさかリズが興味本位で作ったものが流用されていたとは。
「一緒に入ってた人物画像は誰?」
「知らないわ。外見や骨格のモデルじゃない? だからあなたの外見モデルにしたの」
「バージュ博士とか?」
「さぁ。目の色は同じだけど、若い頃の画像を見たことないからわからないわ」
「ふーん」
なんだ。オレの外見ってリズの理想の王子様ってわけじゃなかったのか。
って、なに落胆してるんだオレ。