異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
再びどきどきしながら記録されたデータを確認する。リズの大叔母さんのクセなのだろう。このカードの中も、日付ごとにフォルダが整然と並んでいる。今度は隠しフォルダはないようだ。
一番古い日付のフォルダからファイルを開いてみる。記録されているのは文字のようだ。
2920.05.01
今日は科学技術局勤務初日。緊張もしたけど、これからここで研究に没頭できるかと思うとわくわくした。
なんだ、これ? 日記?
ところどころかいつまんで見てみたが、どう見ても日記ファイルだ。
日付は五年前まである。この中に何か手がかりが隠されていたとしても、この膨大な量をリズが確認するのは困難だろう。
オレは文章を読むのを人工知能に任せて、リズに報告した。
「リズ、こっちのカード、大叔母さんの日記みたいだ。今内容を確認してるけど、九十年分あるから君が読むのは大変だと思う」
「え、そうなの?」
コンピュータの引き出しにあったメモリカードは確認し終えたらしく、リズが電源を切りながら振り返る。
「今、ざっと見てるんだけど、オレももう少しじっくり見たいから、明日以降ヒマなときに局で見ててもいいかな」
「いいわよ」
「じゃあ、コピーする」
閲覧からデータコピーに切り替えようとしたとき、人工知能の掴んでいたファイルが目に入った。
「あれ? この写真……」
掴んだファイルに記憶されていた画像データを、手のひらの上でホログラムにして表示する。
「あ、そうだったの?」
画像を見たリズの目が驚きに見開かれる。
「ランシュの研究発表会」と名付けられた画像には、先ほど設計図と一緒に保存されていた画像の少年が記録されていた。
オレって少年時代のバージュ博士の姿だったんだ。