異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレの心中をよそにフェランドは勝手に納得して頷いている。
「そうかそうか。おまえっていつもリズにべったりでてっきり惚れてるんだと思ってたが、やっぱりロボット同士の方が色々と面倒も少なくていいよな」
「は?」
いやいやいやいや、リズになんだって?
オレがいつもリズと一緒にいるのは、リズの許可がなければひとりで行動することができないからであって、別に好きで一緒にいるわけでは……。
……まぁ、一緒にいるのがイヤなわけでもないけど。
ロティのことはともかく、リズに対する誤解は解いておかなくては。いっそ無知なロボットらしく全部とぼけてしまえ。
オレは無邪気な少年を装って、天使の微笑みを浮かべる。
「リズはマスターだし、優秀な科学者として尊敬してますから好きですよ。ロティもロボットの先輩として尊敬しています。それは惚れているということになるんですか?」
「うーん。ちょっと違うかな。おまえって、まだまだ感情面では経験不足の子供と一緒だな。そのうちわかるさ」
「はい」
平然と返事をしたけど、ロボットに恋愛感情のわかる日がくるのかは突っ込みたいところだ。
フェランドをどうにかごまかせたことに内心安堵しているところへ、事務室の扉が開いて甲高いアニメ声が響いた。
「ただいまもどりましたぁ〜」
どうやらロティは出かけていたらしい。オレと目があった彼女は、買い物袋を掲げて見せながらにこにこ笑う。
「シーナ、もう来てたの? 言われたもの、買ってきたわよ」
「ありがとう。じゃあ、さっそくお願いするよ」
「ええ」
「なにするんだ? おまえら」
不思議そうに見つめるフェランドに、ロティはイタズラっぽい笑顔を向ける。
「ヒミツ。うまくいったらフェランドさんにもお裾分けしますね」
フェランドはそれ以上追及することなく、軽く手を挙げた。
「そうか。楽しみにしておくよ」
オレたちはフェランドに軽く会釈をして、一緒に給湯室に向かった。