あたしは兄を探しています。
「相変わらずなんだな。お前も…」
「まぁね、でも気にしてないよ。あれでも僕は仲間だと思ってるからね」
「そっか…」
聞いたのは、サクなのに何故か悲しそうな顔をするサク。
理由は分かってる。
分かってるけど、リュウ君がそう言うんだ。
「でも、あいつらが“俺”の大事なもんに手を出したら許しはしねぇけどな」
「「……」」
少しドスの効いた声で口角を上げて笑うリュウ君。
今“俺”って言った…。
「んじゃ~、またねぇ。多分、午前中の授業は出ないから昼休みになぁ~」
と言って、あたし達に背を向け手を振りながら校内へと入って行った。
残された、あたしとサク。
「サク」
「何だよ」
「今さっきリュウ君さ、俺って言ったよね?」
「…あぁ、言ったな」
「何で怒ってたの?」
「……」
そう、リュウ君の一人称は『僕』
何故か怒ってたりする時には『俺』になるのだ。
でもリュウ君はさっき俺と言ってた。何故怒っていたのか。あたし達怒らせる事しちゃったかな…。
いや、してないよ!多分…。
リュウ君は高校一年からの付き合いになるけど未だに謎な人物である。