あたしは兄を探しています。
「俺らも入ろうぜ」

「うん…」

あたしとサクも校内へと入る。
が、しかしまぁ、視線が痛い痛い。皆見すぎじゃない?
そんなに見て何になるんだ。
毎日毎日、飽きないよね。あたしだったら飽きる。同じ人を毎日見るんだよ?慣れちゃうし、もう見なくてもいいやってなるよね。


そんな事を考えているあたしを余所に、サクはスタスタとあたしの少し前を歩く。


「んじゃ、また休み時間にな」

「ん、」

そう言って、あたしは自分の教室のドアを開けた。


開けた瞬間、ガヤガヤしてたはずの教室も静かになる。
いつもの事。皆が見るのも、コソコソ話しながらこっちを見るのも。
もう慣れた…。




「今日も独りで可哀想だね」




誰かが、そう呟いた。


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