あたしは兄を探しています。
もうすぐで、四時間目の終わりのチャイムが鳴るはず。
あたしはそそくさと食べる準備を始める。


ふと、リュウ君の視線に気付く。


「何さ、リュウ君」

「えっ何が?」

「さっきからずっとこっち見てるじゃん。あげないよ?あたしのお弁当あげないからね?」

「…ぶはっ!まったくチゲェーし!!あっはっはっ茜ちゃんやっぱウケるわぁー」


リュウ君は大きな口を開けて、声を出して笑い始めた。
そんなに可笑しいか?


「まぁ、茜ちゃんのお弁当はいつも美味しそうだから狙ってはいたけどね」

やはり。

「でもそういう訳ではなくて、ね…」

「?」

「まぁー、いいや。俺もお弁当たーべよっ」


リュウ君も枕替わりにしていた鞄から、お弁当箱を出した。おおっ、今日もリュウ君のお弁当は美味しそうでありますなぁ。

リュウ君のお弁当をジーッと見ていると、リュウ君は気付いてあたしの方へお弁当箱を向けた。
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