あたしは兄を探しています。
「えっ、えっとー、」

リュウ君は何故か凄く焦っているように見えた。
何だよ、あたしの勘違いだったのかな?


「ごめん、何となくそう思っただけだから気にしないで。ただ、ここの屋上の鍵は職員室に隠されてるはずだし誰も入れるって知らないはずだからさ」

だから、ここにいるリュウ君に何かあったのではないかと思ったのだ。
ここに入れるのを知っているのは、あたしとサクと…、あたしに屋上の鍵をくれた“彼”だけ…。


「ははっ、茜ちゃんには敵わないなぁ」

リュウ君は、眉毛をハの字にさせて少し困ったように笑った。


「まぁ、何かあったといえばあったし、なかったと言えばなかったよ」

「どっちだよ」

「んー、まぁどっちにでも捉えれるんだ僕的には」

よく分からんぞ、リュウ君や。


「ちなみに屋上の鍵は前川先生に言って借りたよ。高い所の空気を吸いたいんです…って言ったら泣きながら鍵貸してくれた」

前川なにしてんだよアイツ。
泣きながらって何?アイツに何をしたのよ、リュウ君。
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