あたしは兄を探しています。
「相変わらず、先生達には良くされてるよね。総長なのに」

「まぁ総長だから先生達にも反発とかって格好悪いしね」

おおっ、不良の彼から何と良い言葉!!全国の不良君たちはリュウ君を見習いたまえよ。


「それに先生達に良い顔しとけば都合いいしね。色々と…」

うっわー。そっちが本音かー!!
リュウ君は悪い顔をしていた。全国の不良君たち、この人見習ったらダメだったわ。


「あたしは君がよく分からんよ」

「ありがとう。ミステリアスな男ってもいいよね!」

ダメだ、この男。
別に褒めたわけではないんですけどね。


「ねぇ、茜ちゃん」

あたしの顔は見ず、真っ直ぐ見つめて名前を呼んだリュウ君。







「僕って何者かな」


そう言って、真っ直ぐと前を見つめていた瞳を、ゆっくり、スローモーションかのように…、あたしに向けた。
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